感情モニタリングとは、自分の感情を意識化することによって、情緒的安定度を高め、人間的成長を促す技法である。本書は、おもに教師、若手カウンセラー、看護師、医師、在宅介護者、ユーザーサポート、接客業など、何らかの形で人の世話をする職業に携わる方を対象として、感情モニタリングの全体像を、できるだけわかりやすく、具体的に紹介したものである。小は忘れ物をした生徒への対処から、大は経営上の決断まで、精神性に関わる問題において感情が重要な役割を果たしているにもかかわらず、感情をどのように取り扱えばよいかという方法論は、目を覆うばかりに貧しい。感情をコントロールする方法論はおろか、感情の性質に関する知識でさえ、世間一般の理解は驚くほど歪められている。たとえば「先生はどの子も分け隔てなく愛さなければならない」「既婚者を好きになってはいけない」「もっと不幸な人も多いのだから、これくらいで落ち込んではいけない」「私に非があるのだから、相手を恨むのはまちがっている」「本番で緊張するな。リラックス、リラックス」「おとうさんがついているから、こわくない」これらの命題はすべて誤りである。これらは感情に対する誤った理
感情モニタリングとは、自分の感情を意識化することによって、情緒的安定度を高め、人間的成長を促す技法である。本書は、おもに教師、若手カウンセラー、看護師、医師、在宅介護者、ユーザーサポート、接客業など、何らかの形で人の世話をする職業に携わる方を対象として、感情モニタリングの全体像を、できるだけわかりやすく、具体的に紹介したものである。小は忘れ物をした生徒への対処から、大は経営上の決断まで、精神性に関わる問題において感情が重要な役割を果たしているにもかかわらず、感情をどのように取り扱えばよいかという方法論は、目を覆うばかりに貧しい。感情をコントロールする方法論はおろか、感情の性質に関する知識でさえ、世間一般の理解は驚くほど歪められている。たとえば「先生はどの子も分け隔てなく愛さなければならない」「既婚者を好きになってはいけない」「もっと不幸な人も多いのだから、これくらいで落ち込んではいけない」「私に非があるのだから、相手を恨むのはまちがっている」「本番で緊張するな。リラックス、リラックス」「おとうさんがついているから、こわくない」これらの命題はすべて誤りである。これらは感情に対する誤った理