岡倉天心の盟友であり、日本美術の研究家・収集家・助言者として近代日本美術史に大きな足跡を残したアメリカ人哲学者アーネスト・フェノロサ。また、ドイツ哲学、西洋古典学、美学・美術史を講じ、夏目漱石、安倍能成、岩波茂雄、阿部次郎、九鬼周造、和辻哲郎、 波多野精一といった近代日本を代表する知識人たちを教えたロシア系ドイツ人ラファエル・フォン・ケーベル。彼は音楽家としてはチャイコフスキーの弟子でもあり、東京音楽学校でピアノを教え、日本に当時の最先端の音楽を伝え、滝廉太郎にも影響を与えた。夏目漱石にエッセイ『ケーベル先生』などの作品があるなど、日本の近代文化史における重要人物の一人である。 本編は、東京大学の学生としてフェノロサの講義を受け、また最初の哲学教授としてケーベルの招聘にかかわった井上哲次郎が、後年に語った二人の肖像であり、思い出である。日本近代文化史の興味深い一面がここにある。
岡倉天心の盟友であり、日本美術の研究家・収集家・助言者として近代日本美術史に大きな足跡を残したアメリカ人哲学者アーネスト・フェノロサ。また、ドイツ哲学、西洋古典学、美学・美術史を講じ、夏目漱石、安倍能成、岩波茂雄、阿部次郎、九鬼周造、和辻哲郎、 波多野精一といった近代日本を代表する知識人たちを教えたロシア系ドイツ人ラファエル・フォン・ケーベル。彼は音楽家としてはチャイコフスキーの弟子でもあり、東京音楽学校でピアノを教え、日本に当時の最先端の音楽を伝え、滝廉太郎にも影響を与えた。夏目漱石にエッセイ『ケーベル先生』などの作品があるなど、日本の近代文化史における重要人物の一人である。 本編は、東京大学の学生としてフェノロサの講義を受け、また最初の哲学教授としてケーベルの招聘にかかわった井上哲次郎が、後年に語った二人の肖像であり、思い出である。日本近代文化史の興味深い一面がここにある。