粉体を加工して顆粒や錠剤にする操作(製剤)は、化学工業をはじめ多くの産業分野で行われている。しかしながら、医薬品業界では他の産業分野と比べて2つの大きな特殊性がある。ひとつは、製剤の加工に対して厳格な法律規制(GMP)がされていることであり、もう一つは、製剤の加工に対して技術開示が少ないということである。このような特殊性は医薬品の有する固有の性質に基づくものといえる。 前者に対しては次のような理由が存在する。すなわち、医薬品の粉体は病気治療を対象としたものであり、その多くは少量で劇的な薬理作用を有するため顆粒や錠剤にしたとき、含量などの均一性に対し極めて高い品質が要求される。そのため、個々の単位操作においても他の産業分野に比べて細かな点も含めてきわめてシビアな管理が必要となる。たとえば、水に難溶性の薬物を可溶化する場合、最終製品の顆粒の一つひとつがすべて水に完全に溶解するためには、“個々の顆粒単位”でこれを実現しなければならない。ミクロにわたるこのような高い品質は、医薬品に対する固有の要求を認識していなければ到底実現できるものではない。 このような厳しい要求に対応して厳格な法律規制がなさ
粉体を加工して顆粒や錠剤にする操作(製剤)は、化学工業をはじめ多くの産業分野で行われている。しかしながら、医薬品業界では他の産業分野と比べて2つの大きな特殊性がある。ひとつは、製剤の加工に対して厳格な法律規制(GMP)がされていることであり、もう一つは、製剤の加工に対して技術開示が少ないということである。このような特殊性は医薬品の有する固有の性質に基づくものといえる。 前者に対しては次のような理由が存在する。すなわち、医薬品の粉体は病気治療を対象としたものであり、その多くは少量で劇的な薬理作用を有するため顆粒や錠剤にしたとき、含量などの均一性に対し極めて高い品質が要求される。そのため、個々の単位操作においても他の産業分野に比べて細かな点も含めてきわめてシビアな管理が必要となる。たとえば、水に難溶性の薬物を可溶化する場合、最終製品の顆粒の一つひとつがすべて水に完全に溶解するためには、“個々の顆粒単位”でこれを実現しなければならない。ミクロにわたるこのような高い品質は、医薬品に対する固有の要求を認識していなければ到底実現できるものではない。 このような厳しい要求に対応して厳格な法律規制がなさ